蛇も蚊も
横浜市鶴見区生麦(なまむぎ)で、「蛇も蚊も祭り」が6月3日に行われました。
「蛇(じゃ)も蚊(か)も出たけー、日よりの雨けー」と唱えながら、茅(かや)を撚(よ)ってつくられた太さ60cm、体長20メートルもの蛇を大人も子供も一緒に肩に担いで、一軒一軒の戸口を訪ね、厄払いをするというもの。江戸時代初期から300余年続いている伝統行事です。
地元に伝えられる伝承によれば、昔、この地域に疫病が流行り、多くの人に災難が降りかかったため、村の人々は、いたるところに繁茂していた茅(かや)で蛇体を作り、貝を目に、菖蒲で舌・耳を、木の枝を角、そして尾の先に木で作った剣をつけた大蛇を作り、村中の一軒一軒を「蛇も蚊も出たけー、日よりの雨けー」の掛け声で疫病退散を祈願して練り歩き、この蛇体を最後に海に流したという。その後、やがて疫病も下火になり治まった。以来、ここ生麦の本宮・原地区を中心に現在に至るまで、神事の祭りとして延々と途切れることなく続けられているのだそうです。
「昔は土間を通って、家の中も通り抜けて家々を廻ったんだよ。それぞれの家で柏餅を作ってくれていて、廻っていくとそれをもらえるのがとても嬉しかったなぁ」と神社での蛇作りを見ていたおじいさんが当時を振り返って懐かしそうに話してくれました。
今でも、子供たちの威勢のいい「蛇も蚊も出たけー」の声に、玄関を開けて嬉しそうに待っている年配の方たちのすがたがとても印象的でした。
漁師町だった生麦では、網・縄の扱いに慣れた漁師たちによってこの蛇が作られたのだそうです。その技術を次の世代に伝えて、この伝統行事を伝承していくために、保存会の方々の力と住民の方たちの協力が何より不可欠であるのをこの生麦で行われている蛇も蚊も祭りを通して、肌で感じることができました。
このお祭りは横浜市無形民俗文化財にも指定されています。



