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称名寺を散策

shoumyouji01.jpg横浜市金沢区にある寺、称名寺(しょうみょうじ)を訪ねた。京浜急行「金沢文庫」駅で下車して、駅近くからはグリーンベルト(緑色に塗られた道)が道案内してくれている。それを辿ってゆるやかな上り坂を行くと、迷うことなく称名寺の赤門に着いた。

shoumyouji06.jpg称名寺は、金沢北条氏の菩提寺で、鎌倉時代に北条実時(さねとき)が亡き母の供養のために建てたものである。金沢北条氏は、鎌倉幕府執権を受け継ぐ北条氏の分家で、当時、金沢の六浦港から中国へ続く水運の要所の管理を任されていた。また学問を好み幕府の知恵袋的な存在でもあったという。
赤門をくぐり、桜並木の道を進むと堂々とした仁王門が現れた。だいぶ老朽化しているのか、その門はくぐることはできなかったが、その横を入ると、目の前には大きな池が広がり、池にかかる朱塗りの橋が何とも美しい。しばしその光景に見とれていると、「ホーホケキョ」とウグイスの鳴く声が聞こえてきた。澄んだ空気とその声に、心まで澄んでくるように感じる。
shoumyouji02.jpg池の向こう岸の先には金堂があり、ここは浄土庭園の基本的なかたちをとどめていることがわかる。浄土庭園とは、仏教の浄土思想の影響を受け、仏のいる清らかな世界を再現しようと、金堂や阿弥陀堂などの寺院の建物の前面に大きい池を配し、蓮などを植えるなどした庭園をいう。当時の多くの貴族たちは救いを求めてこのような浄土庭園を造り、極楽浄土を目のあたりにしたいと試みたという。
shoumyouji03.jpg資料の称名寺絵図には創建当時の様子が描かれていて、見事な三重塔、堂や伽藍などが広範囲に渡って建立されていたことがわかる。金沢北条氏の滅亡とともに寺院も衰退し、多くの堂や塔はその姿を消してしまった。今こうしてのこされている庭園だけでも美しいのだから、繁栄していた時代の姿はどれほど素晴らしかっただろう。なんとも残念だが、想像力をはたらかせるしかない。
金堂の向うには金沢山、稲荷山が連なり、野鳥もたくさん飛んでくる。木の枝にとまって池を覗き込むカワセミの姿も見られるらしい。池のほとりのベンチに座って話を聞いた方が魚を狙うカワセミの写真を見せてくれた。夏の頃にはカワセミの雛鳥の姿も見ることができるのでは、と毎日ここを訪れているそうだ。池では大きな鯉が悠然と泳ぎ、亀が甲羅干しをしていた。そのうち、ウシガエルの「グォーグォー」というデュエットが始まり、なんとものどかな時の流れを感じる。
shoumyouji04.jpg境内の奥には切り通しのトンネルがあり、そこをくぐると金沢文庫がある。
ここは、鎌倉時代の武家の書庫として北条実時が創設し、学問をこよなく愛した彼の遺志をその後3代にわたって受け継ぎのこされた膨大な蔵書が保管されている。その後、北条氏が滅びた後には称名寺がその蔵書を守り、時代を経るなかで、宝物なども集められ、現在は中世歴史博物館として、古文書、釈迦如来像などの重要文化財、中国の青磁壷など展示され、私たちも目にすることができる。

静かな時の流れのなかで鎌倉の歴史の風を感じながら過ごした午後だった。


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