かつて世界の玄関口と言えば、港であった。ここ横浜も1859年(安政6年)の開港により世界の注目を集め、世界に開かれた街となった。外国との交易が盛んになり、活気に満ちた新しい文化が形づくられていった。
写真 横浜税関
かつては海だったところにランドマークなどの高層ビルがそびえ立ち、多くの商業施設、文化施設が建設され、平成16年に横浜高速鉄道みなとみらい線が開業することにより、東京からのアクセスも向上し、元町、中華街、山手へも容易に足を延ばせるようになった。これらの新しい観光スポットは多くの若者を惹きつけ、お洒落な街、新しい街としての横浜のイメージを定着させた。不動産ポータルサイト「HOME'S」が行ったアンケートでは、首都圏在住の20代~30代の男女を対象にした、住みたい街のアンケートでは、吉祥寺に続いて2位となっている(3位は自由が丘)。
この横浜港周辺には歴史的建造物や記念碑が点在し、今も当時を偲ばせる面影を残している。日本大通り、海岸通り、馬車道、そして名建築の宝庫である山手地区と私たちは訪れる度に、静かな時のながれを感じることができる。これらの建造物は、歴史的建造物として認定され大事に保存されているものもあるが、多くは老朽化し、再開発等の理由により、その優美な姿を消している。
近年、多くの観光客が訪れる横浜大さん橋の入口付近の古いビルの一画で、「YOKOHAMAいにしえ名建築展」という展示会を開いている人がいる。
横浜在住で一級建築士の足立米利さんである。40数年建築に関わっている足立さんは、横浜の名建築に深い愛情を注ぎ、これ以上この名建築という宝物を失ってはならないと考え、「かたち」として残していきたいと思い立ち、これらの名建築を20年近くの歳月を費やして、からくりポストカードとして制作した。現在、横浜で足立さんほど横浜の名建築について造詣の深い人はいないと思える。
初めての展示会は2004年の山手の洋館で開催、以降、横浜情報文化センター等で数回開催し、本人の予想を上回る好評を博したため、常設の展示会を開くことを思い立ち、事務所の一部を利用して現在の場所で行っている。一般公開は週末のみであるが、日に10数名程度の人が訪れるそうだ。展示されている精巧なポストカードを見ているだけでも新しい発見があるが、気さくな足立さんの語ってくれる横浜の名建築秘話は、ここでしか知り得ることが出来ない貴重な話と言える。建物それぞれに秘められた驚きや面白い発見を通して、改めて横浜の建築の奥深さを知ることが出来る。展示会を後にしたら、実際に現場に行って確かめたくなってしまうだろう。
横浜は古いものと新しいものが共存している街である。新しいものは多くの人を惹きつける。しかし、古いものにも多くの魅力が存在している。
昔も今も人々の心を弾ませ、常に発展、前進してきた街ヨコハマをこれからも守り、また私たち一人ひとりの力で発展させていければと思う。
横浜 山手・西洋館散策
ハマテレビ 足立米利さんのインタビュー映像はこちら